うたろぐ

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パシフィック・リムって3部作っぽい

パシフィック・リム見てきました。

公開中の映画の感想を書くときは、ある程度の改行を置いてネタバレ対策をしているのですが、今回はネタバレ感想書く前に言っておきたいことがあります。

パシフィック・リム面白いので見ましょう。

あ、話の流れでグレンラガンまどか☆マギカについて多少ネタバレを含んでいます
























事前情報が、「芦田愛菜ハリウッドデビュー作品」くらいだったので、リンコとマナ。あとネネさんがいたらラブプラスだね。ああ、マナじゃなくてマナカか。ははは。くらいの軽い気持ちで見に行ったら、大変おもしろかったです。

随所に日本特撮作品に対するリスペクトが感じられる怪獣v.s.巨大ロボットものでした。と、言っても特撮モノってあまり見てないのですが。

この手の作品を見る時のヲタという人種は、えてして「こいつ、わかってねえなあ」とぼやきツッコミをする機会を虎視眈々と狙っているものだと勝手に思ってまして、きっとSF者とか、シャーロキアンの時代から変わらない習性なんだろうと想像するのですが、畑違いヲタ(得意ジャンルは主に女の子がかわいいアニメです!)の自分ごときだと、細かいツッコミが思いついても、「そのツッコミを消化すると、作品が深く、面白くなるのか?」と、自問すると、ぐぬぬ。口がミッフィー。完敗。

最初に見たのが字幕版でしたが、吹き替えキャストが豪華だと聞いて、3D吹き替えで再度鑑賞。

メカニックのリーゼントに蝶ネクタイにサスペンダーのテンマが千葉繁さん。ああ、ぴったり。でももうちょっとテンション高くても良かったかも。マコの林原めぐみさんも菊地凛子本人の声と比べてもかなり低めのチューニングで芝居してて、全体的に落ち着いたトーンで統一してる感じ。

博士コンビの古谷徹さんと三ツ矢雄二さん。ストーリーの怪獣方面の謎解きが主にこの二人によって語られますが、退屈になりがちな設定説明も演出と二人の芝居ですんなり頭に入ります。

おやっさんポジションの池田秀一さんがさすがの貫禄。字幕版見たときはラストで長官代理に収まってたのに若干違和感あったのですが、池田声で「タイマーを止めろ!」と言われるとそんな違和感は吹き飛ぶます。

そして玄田哲章の黒人司令。最終戦前にパイロット復活。そして演説。そう、これだよ、これ。最終戦前はベテラン声優のいい声による司令の大演説ですよ。アニオタ大歓喜。

字幕版も面白かったけど、吹き替え版は声オタにとって至福の時間でございました。

以前洋画の吹き替えに、話題作りのために声優ではなく、アイドルや芸人を起用する是非がネットで話題になってました。

結論としては、合ってればそれでいいのですが、このパシフィック・リムみたいな作品をこういう豪華キャストで迎えてギジェルモ・デル・トーロ監督の熱意を受け止めてくれた日本版スタッフは大変よい仕事でした。そして、ケンドーコバヤシさんは上手でした。



大変面白かったのですが、翻ってリスペクト元の邦画でこれができるかって考えると、なかなか難しいところで。これ、ロボットアニメや特撮ヒーローで2時間半でやる内容じゃないですよね。

冒頭のイエーガー誕生から主役機ジプシーの快進撃、そしてアニキ死亡まででたっぷり1シーズン使いそう。最低1クール。アニキがあっさり退場した印象のあるグレンラガンでも「あばよ、ダチ公」が8話です。

そして主役放浪から再起動。香港に世界各国各世代のイエーガーが全集結し夢の共闘。さらに1シーズンたっぷり使いそうです。

2シーズンラストで、最終作戦目前にオヤジ脱落。補充パイロットにはまさかの司令復活。

そして完結編は劇場版。

みたいな妄想が浮かびましたが、今どきのコンテンツ消費スピードだと、ちょっと色々と保たないとしても、それくらいの規模の物語を単一のオリジナル劇場作品に詰め込むパズルみたいな脚本術ってのは日本のエンターテイメント業界にはなさそうです。

日本コンテンツの脚本が弱いという指摘はちょくちょく見まして、その理由も色々考えられるのですが、僕の思いつき仮説の一つに「漫画・ゲームが強くて、脚本を切り詰める要求が薄かった」というのがあります。

漫画が長期連載化していく原因は緻密な描写が要求されるようになったことと、商業的に人気の安定しているコンテンツを終わらせたくないという2点が大きいと思います。

となると脚本術としてはいかに引き延ばすかという点が重要で、読者を惹きつける引きで次号に繋げ、印象的な引きには、それに見合った意外性のある受けがないと飽きられます。人気がある作品の続編を出したいけど、本編が綺麗に終わりすぎててどう逆立ちしても書けないので、過去編を始めたり、世代を変えたり、サブキャラ主人公でスピンオフしたりなどなど。もちろん日本漫画だけでなく海外コンテンツにもある悩みですが、漫画のアニメ化や実写化の際に、こうした大きな物語を2時間で完結するようにパズル的に再編成する技術はあまり重視されてこなかった気がします。

ゲームもフルプライスでどれだけ容量食ったデータが突っ込まれてて長時間遊べるかというのが、ゲームの価値を物量で判断する際のモノサシになりやすいので、シナリオに関しても短時間に詰め込むよりは、いかに長時間プレイに引き伸ばせるかという脚本術になりがちじゃないかと。

ゲーム構造としてのループを物語構造として再構築したエロゲを中心に発達したループ物語も引き伸ばし術の一つかもしれませんが、そんなエロゲ畑の脚本家でありながら、虚淵玄さんはループ物語をまどか☆マギカで1クールアニメとしてしっかり表現しきったことが大変素晴らしいなあと思います。

ちょっと話がそれましたが、パシフィック・リム。大変素晴らしい怪獣ロボット映画でした。面白かったです。