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ジャパニーズソードはソウルオブサムライ - 47RONIN

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47RONIN、ちょっと前にというか、封切り日に見てきました。

「こんなの忠臣蔵じゃない」は完全に封印して、軽い気持ちで見ようという心構えで鑑賞

以下ネタバレ



























でも気になる。まずは全体的なビジュアルイメージというか特に衣装。アジアのどこかがごっちゃになった風。中華、蒙古、朝鮮の影響が色濃く見える

こう、知識少ない外人デザイナーが、さあ日本ぽい衣装をデザインするぞーと、ググって資料集めしつつも、今まで主に映像作品とかで、なんとなくインプットされたアジアっぽいステレオイメージに引きずられながらできあがった感じ

女性は韓国宮廷モノっぽい影響がうかがえるんだけど、柴咲コウのあのばかでかい立て襟が謎。あれは何を参考にしたんだろう

ラスト・サムライはまだ、がんばって作ったジャパンって感じだったけど、47RONINは、東アジアのどっか

韓国は文化輸出に力入れてるだけあってビジュアル露出の機会が多いってのが大きいのかもしれないけど、逆に日本の時代劇で海外コンテンツとして成功、というか国内でもジリ貧になってきてるのが痛い。「こんなん日本じゃない、○○を見て勉強し直せ!」の○○にあたる作品がないんだよね。黒澤映画も遠くなりにけり。だよなあ。黒澤時代劇って一番評価高いのって白黒時代だもんね



あと、地形がいちいち大陸なのに置いてる小物がジャパンなのが、ここではないどこかのジャパン感で笑う。見渡す荒野にぽつりと一本の灯籠とかかなり笑える。灯籠って街灯なんですけど。そんな見晴らしの良い街道に一本だけの謎の灯籠。

まあラスト・サムライでも、騎馬が横並びできる街道って、どこの日本だ。ってことをやってたし、ハリウッドに日本のせせこましい島国の生態系を理解した上で劇場作品として見応えのある絵作りをしろというのは、さすがにムチャ振りすぎるので目をつむります(えらそう)



にしも、冒頭のあばれ牛のような化け物が倒してみると、虫のような横並びの複眼が光っていて、これ実は蜘蛛の複眼で、リンコがあやつる使い魔でしたーとか、天狗さんが、フクロウベースと思われる鳥人間とか、クリーチャー設定に関しては、ジャパン設定のブレブレに比して、一本筋が通ってて説得力ある。あんなモロ猛禽類な動きする天狗、すごい新鮮。ああ、天狗は巨大フクロウを見間違えたのかもしれないと、山伏装束で赤ら顔で鼻が長くてみたいなステレオイメージを一瞬忘れるくらい。やはり一本筋を通して積み重ねた設定は説得力ある



の、割にアクションが、なんか、こう、あれ。そう、チャンバラじゃない

てか、チャンバラってのも、もうオワコンなんですかね。キアヌが足技絡ませた変則チャンバラをするのは物語的に全然アリなんですが、なんで真田広之までラスボス倒すとどめが体当たりからハイキックで倒してマウントで首獲りなの?

冷静に考えると首獲りのリアルなアクションとしてはかなり正しいんだろうけど、なんでこれもやっとするんだろう?織田信長が女だろうが、本多忠勝がロボットだろうが、まあ、フィクションだしねで許せるのにね

で、辿り着いた結論

ジャパニーズソードがファンタスティックな切れ味を発揮するアクション、すなわちチャンバラがないのが許せない

いくらリアルでなかろうと、チャンバラと言えば、すれ違いざまに一閃、刀を鞘にカチリと収めると同時に敵から吹き出す血しぶき。これ。忠臣蔵が雪(フィクションです)の夜でなくていい、火消し装束(フィクションです)でなくていい、陣太鼓を鳴(フィクションです)らさなくてもいいけど、チャンバラだけははずせない

これ自分の中での再発見

カイがサムライとして認められるイベントとして、血判状のシーンがあって、カイの字がアレだったのがちょっと吹いたりしたけど、厨二ハート的には、敵の大群に囲まれて、キアヌを毛嫌いしてたアレとキアヌが背中合わせになって「おまえになら背中を任せられる」みたいなチャンバラの中で認めていってもらいたいところ



そんなこんなで、もう、ああここ日本じゃないし、ジャパンでもハポンでもジパングでもないわーという気持ちになったので、ラスト・サムライ小雪もしなかった、パシフィック・リムでリンコもしなかった、キアヌと柴咲コウのキスシーンも、おらが国のお姫様が毛唐なんぞに取られてしまうという嫉妬心的なのは特になく。あ、どうぞ、お幸せに。と平穏な心持ちで見られました

全体的にもやっとするのに、切腹シーンの白装束に辞世の句、介錯人なんかは、大石が浅野の介錯するのは、まあ分かりやすいからしょうがないよねえとか、将軍様いちいち切腹ご覧になっててお暇なんですねとか思わないでもないけど、他のシーンに比べるとあんまりもやっとしなくて、どうやらメリケンは、チャンバラよりハラキリのが好きだということがわかりました

しかもキアヌの辞世の句っぽいのを柴咲コウが抱いてて、生まれ変わってまた逢いたいみたいな。なにその「われてもすゑにあはむとぞおもふ」くらいは嗜んでそうな和歌センス、ラストでピンポイントにジャパンソウル来てびっくりだよ

そっかー。メリケンはチャンバラよりもハラキリ、タンカーのが好きなんだなあ。そいやバショーもいたもんね。ハイクーもかー



そんなかんじで、まとめると、逆説的に自分の中の日本が再発見できる映画でした。