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今回のゴジラは、バットマンビギンズだ【GODZILLA ゴジラ感想】

映画『GODZILLA  ゴジラ』公式サイト映画『GODZILLA ゴジラ』公式サイト
ゴジラ見てきました。ネタバレ感想です。ゴジラ本編はもちろん、パシフィック・リムのネタバレも含みます

シネマトゥデイよりみどころ

怪獣映画の傑作として映画史に名を残す『ゴジラ』を、ハリウッドが再リメイクした超大作。突如として出現した怪獣ゴジラが引き起こすパニックと、ゴジラの討伐に挑む人類の姿を壮大なスケールで活写する。メガホンを取るのは、『モンスターズ/地球外生命体』のギャレス・エドワーズ。キャストには『キック・アス』シリーズなどのアーロン・テイラー=ジョンソン、『ラスト サムライ』などの渡辺謙ら実力派が結集。ゴジラの暴れぶりもさることながら、凶悪度の増したデザインに息をのむ。

映画『GODZILLA ゴジラ』 - シネマトゥデイ

ギャレス・エドワーズ監督作品ははじめて見ますが、これ、制作がレジェンダリー・ピクチャーズってのがポイントなのですね。そういえば、ロゴはちょくちょく見るなあと思ってリスト眺めてみると、まず目を引くのがクリストファー・ノーランバットマン三部作「バットマン・ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト・ライジング」。同じくノーラン監督の「インセプション」同じく製作中の「インターステラー」もここ。そして何より至高のカイジュー映画「パシフィック・リム」制作。ロゴをちょくちょく見るどころじゃない、近年の個人的ヒット作品の大半がここじゃないですか。

以下Wikipediaより、公開済み作品をコピペ。

バットマン ビギンズ Batman Begins (2005)
スーパーマン リターンズ Superman Returns (2006)
レディ・イン・ザ・ウォーター Lady in the Water (2006)
アントブリー The Ant Bully (2006)
ビール・フェスタ 無修正版 〜世界対抗・一気飲み選手権 Beerfest (2006)
マシュー・マコノヒー マーシャルの奇跡 We Are Marshall (2006)
300 〈スリーハンドレッド〉 300 (2007)
紀元前1万年 10,000 BC (2008)
ダークナイト The Dark Knight (2008)
ウォッチメン Watchmen (2009)
オブザーブ・アンド・レポート Observe and Report (2009)
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い The Hangover (2009)
ブライアン・シンガーの トリック・オア・トリート Trick 'r Treat (2009)
かいじゅうたちのいるところ Where the Wild Things Are (2009)
ニンジャ・アサシン Ninja Assassin (2009)
タイタンの戦い Clash of the Titans (2010)
ジョナ・ヘックス Jonah Hex (2010)
インセプション Inception (2010)
ザ・タウン The Town (2010)
デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜 Due Date (2010)
エンジェル ウォーズ Sucker Punch (2011)
ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える The Hangover Part II (2011)
タイタンの逆襲 Wrath of the Titans (2012)
ダークナイト ライジング The Dark Knight Rises (2012)
ジャックと天空の巨人 Jack the Giant Slayer (2013)
42 〜世界を変えた男〜 42 (2013)
ハングオーバー!!! 最後の反省会 The Hangover Part III (2013)
マン・オブ・スティール Man of Steel (2013)
パシフィック・リム Pacific Rim (2013)
300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜 300: Rise of an Empire (2014)
GODZILLA ゴジラ Godzilla (2014)

レジェンダリー・ピクチャーズ - Wikipedia

で、このレジェンダリー・ピクチャーズが、なぜこんな、一部の人達にとって大変文化的で芸術性の高い映画を作ってくださるのかというと、映画評論家の町山智浩先生曰く。

まず、この映画のプロデューサー。制作した会社があって。レジェンダリーピクチャーズっていうのが、この映画会社を作ったのが、トーマス・タルっていう人で。この人、いわゆるハゲタカファンドとかをやってて。ずっと、いわゆる金融関係で金を儲けていた人なんですね。投資のプロなんです。投資のプロなんだけども、それで稼いだ財で何をしようかと思ったら、怪獣とアニメとマンガの映画会社を作るっていうのが彼の夢だったんですね!

町山智浩が語る 2014年ハリウッド版ゴジラが素晴らしい理由

ガチオタ投資家トーマス・タルさま。あなたが神か。あなたがオタク一切衆生を救済する菩薩か。オタクの矜持というのは知識だと思っていましたが、実は第一に熱量。次に財力なのかもしれません。CDを箱買いしてレシートを匿名掲示板に晒して承認欲求を得たりするレベルとは圧倒的な差のトーマス・タルさまの財力に、もう足を向けて寝られない。えっと、どこですか?レジェンダリー・ピクチャーズはカリフォルニア州バーバンクですか。よくわからないけど、だいたい東の方ですね。これから東を頭にして寝ます!

以下同じくシネマトゥデイよりあらすじ。

1999年、日本。原子力発電所で働くジョー(ブライアン・クランストン)は、突如として発生した異様な振動に危険を感じて運転停止を決意。だが、振動は激しさを増して発電所は崩壊し、一緒に働いていた妻サンドラ(ジュリエット・ビノシュ)を亡くしてしまう。それから15年後、アメリカ軍爆発物処理班の隊員である、ジョーの息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、日本で暮らす父を訪ねる。原発崩壊事故の原因を調べようと侵入禁止区域に足を踏み入れた二人は、そこで思いも寄らぬ光景を目にする。

僕はこの作品がゴジラデビューなので、他のシリーズはわからないのですが、本作品から読み取る限り、ゴジラは人類が生み出してしまった原子力という力を相殺するために地球が生み出した「現象」であると解釈しました。

人類の力ではどうすることのできない大天災。例えば、台風や大地震。この二つは地球上の偏ったエネルギーを中和する現象です。台風は赤道周辺に溜まった熱を南北に逃す、地球規模の対流現象です。地震もプレートの移動によって生じた歪みを解消しようとして発生します。

こうした、台風、大地震と並ぶ天災クラスの地球のエネルギーのバランスを取る存在がゴジラなのかなと。

作品通して、ゴジラをよく知らない僕が見ても、ゴジラというのはこうあるべきという何重もの約束事を注意深くクリアして物語を積み重ねているような印象を受けました。

ただ、その結果、作品自体面白かったか?と問われると、ゴジラが太平洋横断してサンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジに上陸して、アンギャーって叫ぶところまではワクワクしましたが、その後いまいちカタルシスがなくて、あまり手放しで面白かったとは言えませんでした。

これも僕がゴジラをよくわかっていないからなのかもしれないと、僕の中での至高のカイジュー映画パシフィック・リムと比較してみます。パシフィック・リムもエンドロールの最後に、「本作品を本多猪四郎(初代ゴジラ監督)に捧ぐ」みたいなの出てたもんね。

パシフィック・リムは、かいつまんで言うと、異世界と繋がった海底のゲートからわっしゃわっしゃカイジューが攻めてくるのをパイロット2人がシンクロして操作する巨大ロボット、イエーガーで迎え打って、最後は核爆弾でゲートを閉じて、もうカイジューは来なくなりました。地球は平和になりました。めでたしめでたし。という話です。きゃーかっこいい! 超おもしろかった!! こうやってあらすじ書いてるだけでも、もう一度見たくなるね!!

それに対してゴジラにはイエーガーみたいな巨大ロボットはいません。ゴジラは敵か味方かというと、どちらかというと味方的なニュアンスで、敵役は巨大翼竜のオス・メスです。

ゴジラはエイリアンではなく、地球の天災のような存在なので、科学技術の粋を尽くしたイエーガーのような巨大ロボットで倒したり追い払ったりしてめでたしめでたしというストーリーはムリがありそう。よしんばそうした超科学兵器でゴジラを倒したとしても後味の悪いビターなエンドになってしまいそうです。

では、あからさまな敵役だった巨大翼竜雌雄が倒されてカタルシスがあったかというと、パシフィック・リムのような、人類が苦戦の末多大な犠牲を積み重ねた上、自ら掴みとった勝利に比べると、人類側の対応は場当たり的で、おろおろしてる間にゴジラ様が倒してくれた流れなので、カタルシスは弱いです。

では、ラストで主人公のフォードが、妻子に再会するシーンにカタルシスはあったかというと、未曾有の大天災を乗り越えて生き残ったカタルシスはありますが、それはクライシス映画のそれで、ゴジラってそういう話でいいのかしらというハテナが観賞後ずっとぷかぷかしてました。

で、帰ってからネット見てたら、早くも続編制作決定のニュースを見かけました。

7月25日に日本公開を迎えた特撮怪獣映画ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』の続編制作が正式に決定し、ギャレス・エドワーズ監督の続投も発表された。

『GODZILLA ゴジラ』続編決定!ラドン、モスラ、キングギドラ登場にファン熱狂 | マイナビニュース


アメリカ最大のコミックとポップカルチャーの祭典「コミコン インターナショナル サンディエゴ2014」において、我らが菩薩トーマス・タルさまが登壇。ギャレス・エドワーズ監督のビデオメッセージと最新映像で、続編にはラドンモスラキングギドラの登場を示唆。映像終了後にタルさまが

東宝のおかげでラドンモスラキングギドラを使うことがきる(引用元ママ)」と日本へ、そしてコミコンのファンへ感謝の思いをのべて降壇。大盛況のまま幕を閉じた。

版権ゲットですか。こうした作品は権利関係クリアにしていく交渉が重要そうなのでタルさまグッジョブです。

で、こうしたニュースを眺めていたら、ぷかぷかしてたハテナが、エクスクラメーションマークに変わりました、??→!!



今回のゴジラは、バットマンビギンズだったんだ!!!



レジェンダリー制作のおそらく最初の作品バットマンビギンズも、延々バットマンはどうして生まれたのかの描写が続く、アメコミ原作のアクション映画的なカタルシスを求めて見ると物足りない映画でしたが、続編の名作ダークナイト見るためには必須らしいと聞いてて、ダークナイト見るからには、とりあえず見ておくかと、ノルマ消化気分で見て、まあこんなもんかという印象でしたが、その後ダークナイト観賞したらすごい衝撃で、ああ、ちゃんとビギンズ見といてよかったなあと思いました。

ゴジラも本作がリブートで、エンターテイメント性をある程度犠牲にしてでも今回は舞台設定をきちんと整えておく必要があったのでしょう。本番となる次回作のために。

なるほど、そういうことなら、ここは素直に、ダークナイト級の衝撃を次回作に期待するとしましょう。頼みますよ!ギャレス・エドワーズ監督!トーマス・タル菩薩さま!今後もレジェンダリー・ピクチャーズ作品は優先的に見るようにしますので、どうかひとつ。